2026年4月中旬より、タイで日本の中古車両であるキハ40の運用が始まりました。かつて秋田に所属していた車両で、20両が譲渡されています。2026年5月現在、平日限定の試験運行となっていますが、乗るのは簡単です。実際に乗ってきましたので、情報と合わせて乗車記をお楽しみください。
タイのキハ40について
キハ40は非電化ローカル線向けに1977年より製造された国鉄型ディーゼルカーです。国鉄末期にかけ大量に製造され、合計製造両数は888両にものぼります。キハ40系列には両運転台のキハ40、片運転台で片開きドアのキハ48、同じく片運転台で両開きの大きなドアを備えるキハ48の3タイプがあります。このうちタイには寒冷地仕様のデッキ付きキハ40とキハ48が輸出されました。
JR化ですべての旅客会社がキハ40を引き継ぎましたが、近年置き換えが進んでおり、2016年にはJR東海で全廃、このJR東海の車両の一部はミャンマーに譲渡され現在でも使用されているようです。それ以外でも置き換えが進んでいますが、2026年5月時点でJR北海道、東日本(改造車のみ)、西日本、四国、九州の各社はもちろん、小湊鉄道や錦川鐡道、北条鉄道といった私鉄や三セクにも譲渡され活躍しています。
タイに譲渡されたキハ40はすべてJR東日本の秋田所属だった車両。JR時代は主に五能線や男鹿線で運用されていました。秋田のキハ40は2021年3月ですべて引退。その後北条鉄道に1両、小湊鉄道に3両、そして2024年に20両がタイに譲渡されています。
今回、乗車時の編成は下記の通りです。
キハ40 521(701)

日本時代は五能線色。デッキ付き、車端部のみロングシート、デッキ付き、トイレ付き。
キハ48 1509 (809)

日本時代は五能線色、デッキ付き、車端部のみロング、トイレなし。
キハ48 537 (806)

日本時代は男鹿線色、デッキ付き、車端部のみロング、トイレ付き。男鹿線仕様では数少ないデッキ付きの仕様ですが、五能線色にあった衛星電話アンテナが装備されていないのが特徴です。
現在の運用について
2026年3月時点でタイではキハ40が5~6両運用されているようです。現時点では新たな都市圏交通の試験運行の意味合いが強いようで、平日のみドンムアン~アユタヤ間で3往復の列車が設定されています。時刻と運賃は下記の通り。
ノンストップではなく、途中の駅にも停車する列車となっています。空港(ドンムアン)からタイの一大観光地であるアユタヤの間の列車ですが、観光列車というよりは通勤列車としての意味合いが強いようです。私が乗車した限りでは利用者のほとんどがドンムアン~アユタヤ間の利用で、途中駅の乗降はほとんどありませんでした。また、乗客のほとんどが観光客という感じではありましたね。
タイの駅のホームはほとんどが高さがとても低いですが、このキハ40の運行開始にあわせすべての停車駅でキハ40の高さに合わせた新しいホームが作られました。
乗車記

キハ40の発車駅はかつての中央駅だったフアランポーン駅や現ターミナル駅のクルンテープ駅ではなく、そこから「レッドライン」という近郊鉄道で20分ほど行った場所にあるドンムアン駅となります。ちなみにこのレッドラインを走っている車両は日立車両製です。正面はともかく、側面がいかにもA-Trainな見た目です。
ドンムアン駅は空港直結なので、ドンムアンから入国すればそのままキハ40に乗ることも可能です。

ドンムアン駅の窓口にて切符を購入します。クレカ端末はありましたがクレカは利用不可とのことで現金で購入。両替所は駅のすぐ横にあります。購入時にパスポートの提示を求めれ、切符の隠している場所に名前が印字されます。
ドンムアン駅の改札は列車別で乗車券がないとホームに入れません。改札で下の印が押されます。上のスタンプは車内改札で押されるスタンプで、キハ183とキハ40がデザインされている特別仕様です。ドンムアンからアユタヤまでの運賃は50バーツ(約250円)です。

列車です。出発時刻の15分前には改札が始まります。なぜか東京駅のヘッドマークが取り付けられています。

車内です。ほぼ日本時代から変わっていませんが、モケットは布製のものからレザーっぽいものに張り替えられています。それ以外だとトイレの洋式化、タイ語表記の追加等々はされていますが本当にほぼ改造されていないと言っても良い程度です。
乗車したのは9時30分ドンムアン発の列車でしたが、アユタヤ観光にちょうど良い時間ということもあり、座席がほとんど埋まる程度の混雑でした。タイの長距離列車はまだまだ非冷房が主流で、空調付きかつ運賃が安いキハ40はかなりありがたい存在となっているかもしれません。驚いたのは列車そのものを撮影したり、列車と一緒に記念撮影する人が多かったこと。現地の鉄道マニアっぽい人もいましたが、それだけでなく普通のマダムもみんな記念撮影していました。なかなか新鮮な光景でした。

なんと車両の消毒済票も日本時代のまま。ここまで残っているのは驚きですね。

ドンムアンから1時間ちょうど、終点のアユタヤ駅です。タイ国鉄はずいぶん緩いようで、みんな線路内で撮影していたので私も線路内から撮影。塗装は五能線・男鹿線色と同じ塗分けで、そのまま色だけ変えているのが良いですね。

こんな感じでみんなこぞって記念撮影していました。鉄道マニアのみならず地元民にも受け入れられていると感じられて良かったです。

このようにキハ40の停車駅では新しい高床ホームが整備されています。隣のLRTより低いホームに比べれば全然高さが違うのがお分かりいただけるかと思います。

アユタヤ観光する予定だったのですが、この日の最高気温は36度。暑いので10分で折り返すキハ40に再度飛び乗りました。やはり冷房が効いた車内はありがたいですね。車窓もキハ40というフィルターを通せば奥羽本線あたりに見えなくもないですね。
帰りの列車はアユタヤ午前発ということで、観光客は少なめで車内は空いていました。のんびり乗りたい方は狙い目かもしれません。
まとめ・・・日本でも乗れるけど、ここでしか乗れない
キハ40といえば現在でも西日本エリアでは普通に見られる車両ではありますが、海外で乗るキハ40はまた違った趣があり良いものです。また、地味に北海道仕様以外で寒冷地仕様のキハ40系列はすでに日本国内ではほぼ絶滅しているので、その点においても貴重です。
2026年5月現在、タイのキハ40は試験運行の意味合いが強いです。これから先運行区間、ダイヤなどが頻繁に変わる可能性が考えられます。乗車する際は最新の情報を確認してから乗車の計画を立てることをオススメします。


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